げんごかのれんしゅう

そのときに好きなものとかの自分語り

パーソナルカラー診断でピンクへの呪縛を解いてもらった話

さいころからおしゃれに苦手意識があった。
母はおしゃれや流行には少し疎く兄弟は男だけ、近所に住む友達もたまたま男の子が多く、小学生低学年は女友達がいなかった。
その影響か高学年、中学高校と進学し女の子の友達が増えてもかわいいものやおしゃれなものは私には似合わないものだと避けていた。
「かわいい・キレイ」と「ボーイッシュ・健康的」に分類される選択肢があればいつも迷わず後者を選んできた。
それは好みだからというより「前者は私には似合わないから」という強迫観念で。
だから、ピンクは私にとって選んではいけないものだった。


大学に入って友達から一通り化粧の仕方を教えてもらった。
けれども理工系の学部で身なりに気を使わない男子学生が周囲に多かったため美意識が磨かれることはなく、せっかく教えてもらってそろえた化粧もたまにしかしてなかった。
当時の私にとって化粧はイベント時の義務だった。
漫画やアニメの影響で歳を重ねたら自動的にかわいくなれるかと思っていたらそうではなかったので、かわいい子たちは何もしなくても元からかわいくて、私はかわいくないほうの子なのだと思っていた。

 
何かのきっかけからTwitterで美容垢の存在を知った。
同じころに現実世界でもかわいく格好良く綺麗でキラキラしていておしゃれが好きな人たちと仲良くなった。
生まれから違うと思い込んでいた人たちは、日々研究や努力を重ねて整った見た目を作り上げているのだと知った。
好きなものや惹かれるもの、かわいいものやおしゃれなものを選択し挑戦することに「いいじゃん!」と言ってもらえることで「私もこれを選んでもいいんだ、見た目を整えようとしていいんだ」と思えるようになった。
 
少しずつ好きなものは選べるようにはなってきたけど、何が似合うのかはよくわからなかった。
そもそも似合ってる状態とはどういう状態のことを言うのよくわからなかった。
選択肢が多く違いが判らない状態になると何を選べばいいのか全くわからなかった。
ひとまずアットコスメなんかの口コミサイトで評価が高いものを選んでみるけどそれが自分に合っているのかわからなかった。
そしてまだかわいいは、ピンクは選べなかった。
 
パーソナルカラーという言葉を見かけるようになった。
どうやらイエベとブルべというものがあるらしい。四季になぞらえて4タイプに分けられるらしい。
タイプによって似合う色似合わない色が論理的にわかるらしい。
お、これで選ぶ手掛かりができるのではと自己診断をネットで探したり本を購入したりしてやってみた。
血管や髪、瞳、肌の色を手掛かりにするものから違う色の紙を顔や手にあてて違いを見るものまで何種類も。 

 

私の血管は…青?いやこの辺は青いけどここから先は割と緑…
髪は黒?あまり茶髪が似合わない感はあるけど別に真っ黒ではないし…茶色なのか…
瞳は茶色い方なのか…?黒いってどんな目だ…そもそも黒目だからみな黒いのでは…
肌…色白ではないし…これは黄み肌とやらなのかそれとも焼けてるだけなのか…日焼け跡も人と比べないから早く消えるのかなんてわからない…
あてる色を変えて透明感が出る方とは…?どの状態が透明感が出てるの…?好み的にはこちらの色だけど似合うのって…?
冬の濃い色が壊滅的に合わないことしかわからない…

 

よくわからないから、診断結果に描いてあるタイプごとの美人の絵や、タイプごとの似合う色を見てみる。
ブルべ系の美人は色白に描いてある…色白ではないからきっとイエベだろう。冬の色とは恐ろしく喧嘩してたし。
てことは春か秋…?明るい茶髪より落ち着いた髪色のほうがまだしっくりくるから秋なのか…?
とりあえずイエベ系統なんだろう。Twitterとかみててもイエベ秋よく取り上げられてるってことは多いんだろうし!
てことは秋系のコスメを選べばいいのか。
コスメはイエベ系はオレンジ、ブルべ系はピンクってことはやっぱり私はイエベ系だろうな。
似合うといったらオレンジ健康系や、しっくり深い落ち着いた色系だろうし。

 

しばらくひたすらオレンジなどイエベ系のものを買い集める日が続いた。
けれども確固たる論理に基づいてではなく、これまでの自分のイメージや思い込みに引っ張られた自己診断ではやはり似合っているのかどうか自信がない。
詳しい人に「あなたはこの系統が似合いますよ」と選んでほしい、断言してほしい。
やっぱりプロ診断を受けてみたい。
高額な診断は勇気が出なかったので、お手軽に受けられる大丸の診断を受けることにした。

 

なんとか予約枠を勝ち取って1か月後、とうとうその日が来た。

 

明るい小さな部屋、鏡の前で赤(秋)→赤(春)→赤(夏)→赤(冬)というように同じ色の系統の4タイプの布を肩周りにあててもらう。
鏡が大きなこと、
自分の家よりも明るいこと、
顔のそばに寄せるしかないA5サイズの本と違って肩のすべてを覆えるほど大きな布であること、
そして何よりどの状態が顔色がくすんでどの状態が透明感が出て白く見えているのかを解説してくれるプロの方がいること。
それらのおかげで自分でもはっきりとわかった…私は ブルべ夏 であると。

 

最終的な診断結果も1st2ndともにブルべ夏だった。

 

いや診断にある夏イメージ人の絵は、だいたい夏の色に合うような涼し気な色白じゃないかと戸惑う私にプロが教えてくれたのは
「顔に赤みがあるでしょう?その赤みを抑えるために涼しげな色や青みを合わせるの。
黄みを合わせると顔の赤がさらに強くなってしまうから黄みを合わせてはダメ」
なるほど肌の色と同じ系統を合わせるというわけではないのか!足し算ではなく引き算をするという感じ?
驚き納得する私に続けてかけられる言葉。
「だからあなたはオレンジは似合わない。ピンク、特に青みピンクを合わせましょう」

 

帰ってから改めてブルべ夏向けおすすめコスメを調べてみても、出てくるのはすっきりした青み系やピンク系のものばかり。
え、いいの?私がこんなキレイ系のピンク使っちゃっていいの?

 

おそるおそるピンクのチークやシャドウを買って、顔の半分ずつ使ってオレンジ系とピンク系を試してみた。
確かに比較してみるとオレンジ系は色が浮いて見えるけど、ピンク系だと肌色がいいなというくらいで自然になじんでいる。
そうか、今まではオレンジの浮いている感じが「メイクしている感」だと思っていたけど似合ってなかったんだ。
なんだ、私かわいい色使っちゃっていいんだ。
勝手にダメだと思い込んでただけなんだ。

 

そこからはこれまでの心理が嘘のようにかわいい系や綺麗系のコスメを買えるようになった。
コスメだけじゃない。
服や身の回りの品物も、これまであこがれつつ勝手に避けていたものも選べるようになってきた。
立ち振る舞いにおいても、「きれいなおねえさん」「素敵な大人」らしい行動を抵抗なくできるようになった。
その結果久しぶりに会う人に「きれいになったね」「大人びたね」という嬉しいお言葉をいただくこともあった。

 

もう少し細かい話でいうと、シャドウやチーク、服の色に困ったとき「ブルべ夏 おすすめ」で検索することで選択肢を絞ることができた。
もちろん好きなものや気になるものがあるときはそれを選ぶけど、特に何もなかったり新しいものを試してみたいときのありがたい手助けになった。
似合っているという状態を知ったことで、何気なく試してみたものを買うかどうかの判断を付けられるようになった。
似合うものや考え方を知って、自分で選ぶことができるようになりコスメや服を比較するのが楽しくなった。

 

パーソナルカラー診断に興味がある人は間違いなくプロ診断を受けたほうがいい。
自己診断では思い込みや好みに引っ張られるし、納得感がないから。
論理的に診断をしてもらうことで、感情じゃ手に取らないようなものと出会うきっかけをもらえる。
新しい世界に踏み出すきっかけになる。
何より似合うものを知るとおしゃれが楽しくなる。
日々が楽しくなる。


私は今、ピンクのきれいめシャドウを相棒にして日々を過ごしている。